犬と暮らす方へ3つのお願い
先日、横浜開港祭のドッグエリアで登壇する機会をいただきました。
犬の社会化の大切さと社会化の方法など簡単にお話したのですが、(「犬の社会化」については多くの専門家が異口同音に唱えているのでまたの機会に書きますね)
最後に3つ「犬と暮らす人たちへ」お願いをしました。
常日頃からセミナーやイベント等々で反復していることなのですが、あらためてここでも提唱してみます。
1.「犬」という動物をもっと深く知る
私たち人間と犬とは、生物学上では違う生き物です。
なので、身体のつくりやもともと持っている習性、生態など私たちと違うところがたくさんあります。
例えば…私たち人間は、背骨は地面と垂直になる形で立っていますが、犬の背骨は地面と平行になる形で(四つ足で)立っています。
なので抱っこをするときに、ニンゲンの赤ちゃんのように「背骨が縦になる」形で抱っこするのは、犬の背骨に負担がかかっています。
正しい抱っこの仕方(背骨が地面と平行のまま抱っこする)を専門家から聞いてマスターしてほしいです。
また、犬という動物は、もともとは広くて明るいところよりも暗くて狭いところが落ち着くので
おうちでの愛犬の居場所の環境を考えてあげる、など…
一緒に暮らしているとどうしても私たち人間と同じ目線で考えがちですが、私たちと犬とのたくさんの違い・犬の身体の仕組みや習性・生態をもっと深く知ることで、愛犬の身体や心の負担を減らすことができます。
2.人間社会のルールを守るようにしつけ、管理する
犬と人間は違う動物、とはいえ、もう愛犬と私たちは完全に「家族の一員」になっていますよね。
愛犬と私たち「家族」が生活しているのは「人間社会」です。「犬の社会」ではありません。
だったら、その「人間社会」のルールを愛犬にも守るようにしっかりとしつけて、管理をするのが飼い主の責任だと思っています。
- 他の方へ迷惑にならないように、吠えないようにしつける
- お店などではじっとしているようしつける
- 店や道を汚してしまったら、飼い主がしっかりと処理をする
みたいな、ごくごく当たり前のことなのですが…
こういう時に「犬だから吠えるのは仕方がない」「犬だから汚してしまうのは仕方がない」と「犬」を主張してくるパターン、結構あります。
が、
「家族である愛犬」が暮らしているのは人間社会なのだから、ルールを守る(守るよう管理する)のは当たり前、です。
3.自分の犬(愛犬)を思うのと同じくらいほかの犬のことを思う
自分の犬のことは、何が好きか、苦手か、どんな性格のコかなどなどよくわかってると思います。
自分のコが「ほかの犬や人が大好き」だったとしても、向こうからくる犬は自分のコと同じように「犬や人が好き」だとは限りません。
なので、
「うちのコは犬も人も大好きなんです~」「うちのコは人も犬も大丈夫です~」…だけど、「相手のコはどうなんだろう?」
ここまで考えてほしいです。
自分のコと挨拶させたいときは、相手の飼い主さんに「挨拶させてもいいですか?」と一言お伺いを立てるという気遣いを持ってほしいです。
もしも相手のコが犬見知りなコだったら、飼い主さんはやんわりとお断りすることができて、相手の犬も嫌な思いをしなくてすみます。
ご自身の犬には「いつでも大好きな犬と挨拶できるとは限らない」という我慢の経験をさせることができます。
犬見知りな犬の飼い主さんからは、お伺いなしにずんずん近づいてくる(近づけてくる)犬に向かって自分のコが吠えてしまったために、なんだかこっちが悪いみたいな空気になる…ってこともよくお聞きします。
ご自身の犬を「ほら、お友達よ~」なんて無理やり近づけたり、犬同士で一定の距離を保っている中「あら、なんですぐそばにいるのにそっちを見ないの?」なんて顔を無理やり相手の犬に向けたり…犬同士で平和を保っている距離感や角度をわざわざ壊すパターンも結構あります。
「お友達」になるかどうかは犬同士が決めることなのでね。
また、ご自身が他の犬を見て「かわいい!なでたい」「お近づきになりたい!」と思ったときも同じです。
「私はワンちゃん大好き!「私は犬を歴代飼っているから犬のことは詳しい」…だけど、「相手のコはどうなんだろう?」
ここまで考えてほしいです。
この場合も「ワンちゃんと挨拶していいですか?」と相手の飼い主さんに一言お伺いを立てることです。
犬は明らかに嫌がっているのに、自分は犬に慣れているからといって無理やり近づいている場面も結構出くわします。
「大丈夫だよ」「怖くないよ」なんて言いながら近づいても…犬が「怖い」「いやだ」と感じている以上、ただただ嫌な思いをさせてしまうだけです…
大丈夫かどうかは、犬が決めますので、大丈夫と思ってもらうまで待ちましょう。
社会に受け入れられ、いつまでも生き生き長生きに!
この3つのお願いを、もっともっとたくさんの飼い主さんが心がけてもらうことで
お互いがお互いを思いやれるようになり、人間社会に愛犬が受け入れてもらうことができたら
今よりもっとたくさん一緒に出掛ける場所やできることが増えてくるのではないかなと。
そして愛犬ももっと生き生き長生き、いつまでも元気でいられるようになるんじゃないかなと思っています
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